個人事業主になって初めての青色申告を済ませました。高校の数学テストで1点を取ったことがあるほど数字に関しては苦手で、会計や簿記の知識なんて全くなかったので青色申告にはかなり身構えて取り組みました。結果、スムーズに終えることができました。
個人事業主の確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があって、青色申告は帳簿の作成が面倒だけれどその分65万円の控除が受けられるのでお得であるという仕組みです。
アフィリエイターやウェブ系フリーランスは仕入れもなければ在庫もないことが多いので、基本的に帳簿がシンプルになります。青色申告にあたってやるべきことがそもそも少ないので、圧倒されずに最初から青色で申告するのが良いと思います。
肝要なことは取捨選択です。青色申告に関する全ての知識を頭に入れなければならないわけではなく、自分の申告に必要な知識だけを知っておけばいいのです。
下記、私が実際に確定申告をしてみて「やらなくていいこと/やるべきこと」をまとめましたので「なんだ、簡単そうだな」と思って頂ければ幸いです。
やらなくていいこと
勘定科目は覚えなくていい
確定申告に際して、特にご年配の方からされるアドバイスに「勘定科目を覚えなくてはならない」というのがあって、私も複数の人から「勘定科目の仕分けを覚えるのが大変なんだよねー」なんて言われましたが、いざやってみるとそんなものを覚える必要は全くありません。
「勘定科目の仕分け」とは「切手は通信費」「本は図書新聞費」など、主に経費においてどのジャンルに区分されるかを記帳することです。
なぜこれらを覚えなくても良いかというと、ネットで調べれば一瞬で済むことだからです。かつては本か何かでいちいち調べたり税務署に問い合わせたりしなければならなくて仕分けが煩瑣だったのかもしれませんが、今はそんなことはありません。
また、勘定科目の仕分けには正解はありません。「切手は通信費」と先述しましたが「雑費」や「支払手数料」として仕分けしても全く問題ありません。頓珍漢な仕分けをしていたとしても税務署に怒られることはないでしょう。
躍起になって勘定科目を覚えることは時間の無駄です。わからないことがあったらその都度調べることで充分に対応できますし、それを繰り返しているうちに自然と覚えているでしょう。
必要のない知識は覚えなくていい
ウェブ系個人事業主の申告書はかなりシンプルなものになります。仕入れも在庫もないし、場合によっては売掛金もないし、現金のやり取りもないであろうからです(従って「お金が合わない」ということがまずない)。私も空欄だらけの申告書になりました。
確定申告の本を買ってきて勉強しようとすると、当然ながら小売店向けに棚卸しのやり方などが記載されていますが、自分に必要のないことは覚えなくても良いです。読み飛ばしましょう。
使わない知識でつまづいてしまって「わからない、難しい」と苦悩してしまうことは全く意味のないことです。私も仕入れや在庫、棚卸しについては全くわかりませんが、何の問題もなく申告を終えることができました。
簿記の資格は役に立たない
確定申告書を作成するには簿記の知識がアドバンテージになると思いがちで「あー、学生の時に簿記の勉強しておけばよかったなー」なんて感じてしまいますが、それは誤解です。簿記の知識や資格などなくても全く問題ありません。
私も個人事業主になるにあたって簿記の入門書を1冊読みました(下記参照。Amazonで一番人気だった)が、簿記の概要を理解した程度で、詳しく頭に叩き込んだわけではありません。「貸方」と「借方」が同じ金額になる、くらいのことを知っておけば問題ないでしょう。
というのは、記帳は会計ソフトがわかりやすくやってくれるからです。「えーと、これは貸方に記帳するから、こっちが借方で…」なんて作業は全くありません。直感的に入力すれば勝手に振り分けてくれます。私も未だに借方と貸方が何なのかわかっていませんが、問題なく記帳できています。
やるべきこと
何が経費になるのかを知っておく
勘定科目の仕分けを覚えておくことは必要ないと前述しましたが、「何を経費として計上できるのか」は知っておくべきです。経費になり得るものを全て経費として計上することによって節税になります。
税務署は「経費にならないものを経費として計上した」場合には制裁を加えてきますが、「経費になるのに経費として計上しなかった」場合には自業自得だと言わんばかりに何も言ってくれません。
とは言え、経費になるものを覚えるのは簡単です。基準はたったひとつ「その支出が事業の売上に貢献したか」だけです。雑誌の購入費も、ゲームの購入費も、旅費も、家賃も「これは◯◯の理由で事業のための支出である」と説明できれば経費になります。
また、保険料など、控除の対象になり得るものについてもきちんと覚えておきましょう。
クラウド型会計サービスを導入する
青色申告控除(65万円)を受けるための要件は複式簿記によって記帳されていることです。複式簿記とはあの厄介な借方・貸方で記帳することです。
但し、もはやわざわざ紙に帳簿に借方・貸方を書き込む時代は終わりました。会計ソフトが全てを解決します。特にクラウド型会計サービスは非常に便利で、「◯◯円を雑費として支出」のように入力するだけで、勝手に貸方・借方に振り分けてくれます。インストール不要でブラウザ上で完結します。インストール型にありがちな年次更新手数料も不要で、出費は固定の年額だけです。
クラウド型会計サービスの選択肢は「MFクラウド確定申告」か「freee」の二択になるでしょう。「freee
」の方がより直感的に使えると評判ですが、私はMFクラウド確定申告を使っています。
こまめに記帳する
これは単なるお節介ですが、記帳はこまめにしておいた方が申告の際に楽です。ウェブ系フリーランスの記帳は計上する項目がそもそも少ないでしょうが、少なくとも1ヶ月に一回は会計ソフトにまとめて打ち込んでおくだけでも確定申告の際にだいぶ楽です。
事業主借を活用する
大抵の場合、一つの財布から私用の支出と事業用の支出をすることになるでしょう。事業用のクレジットカードを別で作るのは煩瑣だし、事業用の財布を作ってレジでの会計をわけてもらうのも面倒です。「個人の消費」の中の「経費」をどのように記帳するかという問題です。
やり方は人それぞれでしょうが、私は支出は全て「事業主借」として計上しています。経費を事業主(つまり私)から借りて捻出しました、ということです。このようにすれば事業用現金の管理や複数のクレジットカードを使い分けることから解放されて、全て「事業主から借りて支出した」で済ますことができます。
実際に『ひとり社長の経理の基本』(井ノ上陽一、ダイヤモンド社)でにおいても、「現金」科目を使わずに「社長借入金(個人事業主で言うところの事業主借)」を活用して楽に経理を済ますテクニックが紹介されています。
他、下記の本を参考にしました。

フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。
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▲ロング&ベストセラー。フリーランスにおける確定申告本の鉄板です。何はなくともこれだけは読んでおきましょう。
▲次点で参考になる本。同じジャンルの本を2冊読むことで理解が深まりますので、時間があればこちらも読んでみることによってフリーランスの確定申告を多面的に捉えることができるようになるでしょう。